
AGEs生成抑制(in vitro)
甘いものや炭水化物を摂りすぎると、体内で余った糖がタンパク質と結びつき、「糖化」が起こります。糖化によってできる終末糖化産物(AGEs)は、体の組織を硬くしたり、働きを低下させたりする要因のひとつと考えられており、老化との関係が注目されています。たとえば、皮膚のハリ、血管のしなやかさ、腱・関節の柔軟性などにも影響を与える可能性があります。特に、糖代謝物であるグリセルアルデヒドに由来するAGEsは、毒性が高いことが知られます。
生体タンパク質の架橋は、糖化ストレスによる機能低下の主要な要因であるため、その抑制は非常に重要です。そこで、CTP の主要成分である Gly-Pro-Hyp(GPHyp)がグリセルアルデヒド由来の AGEs 生成や架橋形成を抑えるかどうかを明らかにするため、(1)BSA 糖化モデルと(2)リゾチーム糖化架橋モデルの 2 種類の試験系で検討しました。
in vitro
(1)BSA糖化モデル
■方法
10 mg/mLのBSAに10 mMのグリセルアルデヒド(GA)を加え、pH 7.4、37℃で3日間反応させる糖化モデルを用いました。この反応系に、Gly-Pro-Hyp(GPHyp)、ならびにGPHypを構成するジペプチドであるGly-Pro(GP)およびPro-Hyp(PHyp)、アミノ酸であるグリシン(G)、プロリン(P)およびヒドロキシプロリン(Hyp)を、それぞれ濃度を変えて(0–10 mM)添加しました。糖化阻害の陽性対照として、アミノグアニジン(AG)を用いました。
反応後、グリセルアルデヒド由来AGEsに特異的な抗体を用いたELISAによりAGEs量を測定しました。得られた結果から、各試験物質がAGEs生成を50%抑制する濃度(IC50)を算出しました。
■結果
図1に結果を示しました。検討した濃度範囲において、GPHyp、GPおよびグリシンでAGEs生成抑制作用が認められました。一方、PHyp、プロリンおよびヒドロキシプロリンでは、作用は認められませんでした。GPHypとGPの間に有意差は認められなかったものの、GPHypおよびGPはいずれもグリシンより低いIC50を示し、ペプチド構造を持つことでAGEs生成抑制作用が高まる可能性が示唆されました。
図1.BSA糖化モデルにおけるGPHypおよび関連成分のAGEs生成抑制作用(IC50)
(2)リゾチーム糖化架橋モデル
■方法
本試験では、糖化モデルタンパク質として広く用いられているリゾチームを使用し、グリセルアルデヒドによるAGEs生成およびタンパク質架橋に対するGPHypの抑制作用を評価しました。
300 μMリゾチームに4 mMグリセルアルデヒド(GA)を添加し、pH 7.4、40℃で3日間反応させました。この反応系に、GPHyp、Gly-Pro(GP)、Pro-Hyp(PHyp)、グリシン(G)、プロリン(P)およびヒドロキシプロリン(Hyp)をそれぞれ4 mM添加しました。反応後の試料をSDS-PAGEに供し、糖化架橋物であるリゾチーム三量体の生成量を、コントロールに対する相対値として算出し、評価しました。
■結果
図2にリゾチーム三量体の結果を示しました。GPHyp、GPおよびグリシンでリゾチーム三量体生成抑制作用が認められました。一方、PHyp、プロリンおよびヒドロキシプロリンでは、作用は認められませんでした。有意差は認められなかったものの、GPHyp、GP、グリシンの順に抑制作用が強い可能性があることが観察されました。
■考察
2つのモデルによる検証の結果、GPHyp、GP、グリシンはいずれもAGEs生成抑制作用を有する可能性が示唆されました。一方、PHyp、プロリン、ヒドロキシプロリンでは抑制作用が認められなかったことから、この作用はグリシン構造に起因すると考えられました。ただし、GPHyp、GP、グリシンの順に作用の強さに差がみられ、わずかな構造の違いが反応性に影響する可能性が示唆されました。
| 引用: | Shoko Yamamoto et al., “The Glycine-Proline-Hydroxyproline tripeptide reduces cell death caused by glycative stress.” Protein Pept Lett 33 (2026) :454-464. |



