
肝細胞保護(in vitro)
フルクトースをはじめとする糖の多い食生活が続くと、細胞内では糖代謝の過程でグリセルアルデヒドが過剰に産生され、グリセルアルデヒド由来の終末糖化産物(AGEs)が蓄積します。これらのAGEsの蓄積や、AGEsによって誘導されるROSの増加は細胞機能障害を引き起こし、細胞死や炎症応答の誘導につながることが知られています。したがって、糖化ストレスによる細胞障害および炎症性応答をどの程度抑制できるかは、抗糖化作用を評価するうえで重要な指標となります。
そこで、肝細胞モデルであるHepG2細胞を用い、CTPの主成分であるGly-Pro-Hyp(GPHyp)が、グリセルアルデヒド誘導性の細胞死および炎症性サイトカイン発現に及ぼす影響について検討しました。
in vitro
■方法
HepG2細胞は 6,000 cells/well の密度で 10% FBS を含む DMEM 培地に懸濁し、プラスチックウェルに播種した後、37℃、5% CO₂インキュベーター内で一晩培養しました。翌日、培地を 2% dialyzed FBS を含む DMEM に交換し、さらに一晩培養しました。
翌朝、0~8 mM の GPHyp(あるいは各種ペプチド、アミノ酸)を含む培地を添加し、2時間培養後、3 mM のグリセルアルデヒドを添加して 24 時間培養しました。24 時間後、CellTiter-Glo® Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を用いて生細胞数を測定しました。
mRNA の測定については、グリセルアルデヒド添加 16 時間後に総 RNA を回収し、リアルタイム RT-PCR により IL‑8 遺伝子発現量を測定し、β-actin 発現量で正規化しました。
■結果
図1に、細胞死への影響についての結果を示しました。グリセルアルデヒドを添加すると、生細胞数は有意に低下しました。一方、8 mM GPHyp を添加した条件では、生細胞数が有意に回復しました。GP、PHyp、およびグリシンについて同条件で評価したところ、これらの添加では生細胞数の回復は認められませんでした。
図2に、IL-8遺伝子発現に対するGPHypの影響を示しました。グリセルアルデヒドの添加によりIL-8遺伝子発現は有意に上昇しました。一方、GPHypの添加により、グリセルアルデヒド誘導性のIL-8遺伝子発現上昇は濃度依存的に抑制されました。
図1.糖化ストレス誘導性細胞死への影響
図2.IL‑8遺伝子発現への影響
■考察
GPHypは糖化ストレスを抑制し、肝細胞の細胞死や炎症の惹起を抑制することが示唆されました。このメカニズムの背景には、「AGEs生成抑制 (in vitro)」「糖代謝物の捕捉 (in vitro)」の項でご紹介したような、GPHypによるグリセルアルデヒドの捕捉作用、AGEs生成抑制作用が関連すると考えられます。



