コラーゲン・トリペプチドの特徴/ひざ関節

変形性膝関節症改善(ヒト試験)

正常な膝関節では大腿骨及び脛骨の端にある「関節軟骨」がクッションの働きをしており、軟骨の主要構成成分であるコラーゲン(Ⅱ型コラーゲン)が重要な役割を果たしています。

変形性膝関節症(knee osteoarthritis; knee OA)の場合、半月板損傷や靭帯断裂に伴う関節軟骨の損傷や老化による軟骨構成成分の変性変化が引きがねとなって、関節軟骨が磨耗・崩壊し、さらには関節周囲の骨増殖(骨棘形成)、滑膜炎を伴って関節機能の障害(滑動機能やクッションの働きの低下)が生じることが知られています。

一方、これまでに、変形性膝関節症(OA)モデルウサギを用いて検討した結果、CTP含有コラーゲンの経口摂取による「変形性膝関節症の軟骨破壊軽減効果」が認められました。このことから、ヒトの変形性膝関節症においても、CTP含有コラーゲンの経口摂取による諸症状の軽減効果が期待されました。

そこで、変形性膝関節症の被験者を対象に「疾患特異的尺度(JKOM)」、「医師所見」を指標としたヒト臨床試験を行いました。

ヒト変形性膝関節症(OA)治癒促進作用試験

■方法

膝痛を自覚している 35~70歳の日本人男性および女性120名から、1次スクリーニング(RAテスト:陰性、且つJKOM評点:相対的に高い者を選定)により95名選定し、さらに2次スクリーニング(医師所見)により66名選抜し、JKOM評点及び年齢の平均値が均等になるように3群(プラセボ群、2g CTP含有コラーゲン群、4g CTP含有コラーゲン群)に割り付け、各々のサンプルを1日1回、10週間連日摂取してもらいました。

摂取前、5週後、10週後にJKOM評価(被験者アンケート)および「医師所見」を指標に評価を行いました。

■結果

JKOMスコアは、いずれの群においても10週後に傾向が認められました。また、CTPの摂取量が多いほうがより改善する傾向が見られました。

一方、より客観的な評価と考えられる医師所見では、「水症」について、プラセボ群では経時的な改善がみられませんでしたが、2g群では5週後及び10週後に、4g群で10週後に経時的な改善が認められ、さらに10週後にはCTP含有コラーゲン群とプラセボ群で有意な差が認められました。

「軋轢音」についても、プラセボ群では改善効果がみられませんでしたが、CTP群では経時的な改善が認められました。さらに10週目には、プラセボ群とCTP4g群間で有意差が認められました。

医師所見の改善度

■考察

変形性膝関節症患者を対象としたヒト臨床試験の結果、JKOM評価では、予想以上のプラセボ効果が認められましたが、4g摂取群ではそれを上回る改善効果が示されました。

また、より客観的な評価と考えられる、医師所見では、プラセボ群に比較し、2g群、4g群ともに、明らかな改善効果が認められました。

よって、CTP含有コラーゲンの変形性膝関節症に対する有用性が示されました。

引用: Yamamoto, Shoko, et al. "Effects of Collagen Tripeptide on Knee osteoarthritis in Humans and Animals." Pharmacometrics (Oyo Yakuri) 89 (5/6) (2015): 115-124.