コラーゲン・トリペプチドの特徴/骨

頭蓋骨欠損治癒促進(in vivo)

豚皮コラーゲンを酵素で低分子化したCTP含有コラーゲンは、消化管から速やかに吸収されて骨特異性の転写因子Osterixを活性化することによって、骨のⅠ型コラーゲン産生およびCa合成(コラーゲン性石灰化)を促すことが知られています。

本研究では、頭蓋冠の骨欠損部にβ-TCP補填材顆粒を埋入したWistar系ラットにCTP含有コラーゲンを経口投与し、CTP含有コラーゲンの頭蓋骨欠損治癒に対する効果を確認しました。

頭蓋骨欠損治癒促進作用試験

■方法

実験動物には8週齢のwistar系ラットを8匹使用しました。ラットの体重100gあたり8%抱水クロラールを0.5mLの割合で腹腔内に注射して全身麻酔を施しました。頭頂部を剃毛の後、頭蓋冠に歯科用トレフィンバーを用いて、脳硬膜に達しないように骨欠損を形成しました。欠損部にβ-TCP顆粒を充填した後、縫合しました。

投与群(4匹)には、CTP含有コラーゲン 20mg/mLの水溶液を2mLずつ毎日1回経口投与しました。非投与群(4匹)には、2mLの水道水を毎日1回経口投与しました。

14日経過後に実験動物を安楽死させ、実験部を摘出して組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色後に光学顕微鏡下で観察を行いました。組織薄片を写真撮影し、骨欠損部の輪郭で囲まれる面積に占める骨、β-TCP、線維性およびその他の組織について、それぞれの面積率をソフトウェア(Photoshop CS6, Adobe)を用いて算出しました。

■結果

図1に、CTP含有コラーゲン投与ラットと非投与ラットから摘出した頭蓋冠の写真を示します。非投与のラットでは、β-TCP顆粒が完全に新生骨と一体化していないことを示す白い粒子が認められ、同時に欠損部での骨形成も不十分で、頭蓋冠が凹凸のある状態になっていました。

それに対して投与ラットでは、頭蓋冠はなめらかな状態にまで再生しており、β-TCP顆粒も新生骨と一体化しているかのような様相を呈していました。外見的には、投与ラットにおいて骨形成がより進行したことが示唆されます。

図1 投与ラットおよび非投与ラットの頭蓋冠

スケールバー:5.0mm

(a、b):投与群   (c、d):非投与群

図2に、投与ラットと非投与ラットの骨欠損部近傍の組織写真を示します。おおむね、破線の内側が骨欠損部位です。ピンク色の領域は骨、白く見える領域はb -TCP顆粒、薄いピンクの領域は線維性およびその他の組織です。投与群、非投与群とも、既存骨の端から欠損部中心に向かってわずかに新生骨が伸びています。両群ともβ-TCP顆粒はまだ完全には吸収されきっておらず、随所に残存顆粒が認められます。

しかし、非投与群では主として欠損部の上部(頭皮に接した領域)と骨欠損辺縁部(既存骨に近い領域)にしか新生骨が認められないのに対し、投与群ラットではそれらに加えて骨欠損中心部付近にも新生骨が認められるました。

図2 投与ラットおよび非投与ラットの頭蓋冠骨欠損近傍の組織写真(×10)

(a、b):投与ラット   (c、d):非投与ラット   NB:新生骨

すべての試験動物の実験部位について、図2に示したような欠損部全体の写真を撮影し、新生骨、β-TCP顆粒、および線維性組織それぞれの面積率を算出し(n=4)、t検定を実施しました。その結果を図3に示します。

図3 投与群および非投与群の骨欠損部の構成組織の面積率の比較.n=4, *: p 〈 0.05

■考察

頭蓋冠の骨欠損部をβ-TCP顆粒で補填したラットにCTP含有コラーゲンを14日間経口投与したところ、非投与群に比較して、補填材近傍での骨形成が有意に速まることを見出しました。既存骨の周囲だけでなく、既存骨から離れた場所での骨形成が促されることは、骨再生治癒の形態として望ましいことであると考えられました。

補填材近傍で新生骨形成が進むことに関しては、β-TCPの埋入による骨芽細胞の増殖促進と、CTP含有コラーゲンによる骨芽細胞の成熟促進が相乗的に作用した可能性が示唆されました。