乾燥・痒み抑制(in vivo)
CTP含有コラーゲンの経口摂取が肌荒れ/乾燥肌においてみられる痒みに及ぼす効果について検討しました。
ドライスキンモデル(マウス)における改善効果試験
■方法
- 【ドライスキンの誘発】
- 開始0日目にICRマウス(5週齢)の背部を剃毛し、翌日より3日間アセトンを浸したコットンを1日1回、5分間貼付しました。
- 【CTP含有コラーゲンの投与】
- 開始日から3日間、生理食塩水に溶かしたCTP含有コラーゲン(500mg/kg/day or 80 mg/kg/day)を、1日1回内服させました。対照群には生理食塩水を内服させました。
- 【評価】
- アセトン処理の1時間後から30分間、ビデオ撮影し、マウスの背部皮疹を掻く回数を測定し、各群の掻破回数を比較しました。経表皮水分蒸散量(TEWL)はアセトン処理の2時間後にTewameterを用いて測定しました。また、開始4日後に採取した皮膚検体を用いて表皮内神経線維、NGF、Semaphorin3A量を測定し、各群での比較を行いました。
■結果・考察
アセトン処理を行った皮膚では、無処処理と比べてTEWLの増加が顕著であったのに対し、CTP含有コラーゲン群では用量に依存してTEWLが低下しました(図1)。
また、マウスを撮影したビデオ画像から、30分間に各マウスが背部皮疹を掻く回数を数え、各群の掻破回数を比較したところ、CTP含有コラーゲン群ではアセトン処置群と比べ、掻破行動が有意に減少しました(図2)。
表皮内神経線維については、CTP含有コラーゲン群ではアセトン処理を施した群と比べて、用量に依存して有意に表皮内神経線維が減少しました(図3)。
かゆみを感じやすくする神経成長因子NGFについては、アセトン処理を行った皮膚ではNGFの増加が確認されましたが、CTP含有コラーゲン群では、用量に依存してNGFの発現低下を認めました(図4)。
一方、アセトン処理群ではかゆみを感じにくくする神経反発因子Sema3Aが減少し痒みの閾値が低下しているのに対して、CTP含有コラーゲン群では、用量依存的にSema3Aの発現が通常レベルに近づいていることが確認されました(図5)。
以上の結果より、CTP含有コラーゲンを摂取することにより、皮膚の乾燥のみらず、乾燥にともなって発生する痒みも軽減されることが分かりました。
図1.TEWL(経表皮水分蒸散量)の経時変化
図2.Scratch behavior (掻破行動)
図3.表皮内神経線維
図4.皮膚組織内のNGFの発現量(Day4)
図5.皮膚組織内のSemaphorin3Aの発現量(Dat4)
引用: | Okawa et al.(2012) Oral administration of collagen tripeptide improves dryness and pruritus in the acetone-induced dry skin model, J. Dermatol. Sci. 66, 136-143 |