コラーゲン・トリペプチドの特徴/ひざ関節

Ⅱ型コラーゲン産生促進

膝関節では大腿骨及び脛骨の端にある「関節軟骨」がクッションの働きをしており、軟骨の主要構成成分であるⅡ型コラーゲンが重要な役割を果たしています。CTPがⅡ型コラーゲンの合成にどの様な影響を及ぼすか検討しました。

軟骨細胞の細胞増殖能(in vitro)

CTPが軟骨細胞の増殖に関与するか確認しました。

■方法

牛の関節軟骨より単離した細胞を30,000cells/cm²の密度で播種し、20%FBS-DMEMで培養しました。3回継代した後、再度30,000cells/cm²の密度でプラスティックベースディッシュに播種し、30μg/mLのCTPを添加しました。その後、48時間まで時間を追って細胞数を測定しました。

■結果

CTPが軟骨細胞の増殖能に及ぼす影響については、コントロールとCTP群では差がなく、CTPは細胞の増殖能には影響しないことが分りました。

Ⅱ型コラーゲン産生促進(in vitro)

CTPが軟骨においても重要な働きをするⅡ型コラーゲンの産生にどのような影響を及ぼすのか確認しました。通常、軟骨細胞は、歩く時に加わる力や周囲の関節液からの水圧を受けています。そのような環境を再現する為に静水圧負荷系において軟骨細胞を培養しCTPの添加がⅡ型コラーゲン産生に与える影響を検討しました。

■方法

静水圧負荷装置(SP-200T、ストレックス)を用いて軟骨細胞に静水圧を負荷しました。装置の概要図を下記に示します。チャンバー表面温度が37℃、5MPaの圧がかかるようになっています。30μg/mLのCTP含有コラーゲンを培養液に加え、5MPa、1.0Hzの静水圧を12時間負荷しました。試験後、細胞外Ⅱ型コラーゲンのmRNAの産生量をRT-PCRで測定しました。

■静水圧負荷装置概略図

■結果

静水圧負荷条件下において、Ⅱ型コラーゲンはCTPの添加により濃度依存的に高まっていることが分ります。

■考察

軟骨細胞の静水圧負荷培養系において、CTPの添加は培養軟骨細胞の細胞増殖能には影響を与えず、Ⅱ型コラーゲンの産生を促進することが分りました。このことから、CTP含有コラーゲンを摂取することにより、関節軟骨のコラーゲン産生が促進効果や、変形性膝関節症等の予防・改善効果が期待できます。

引用: 大橋俊朗ら. "コラーゲン・トリペプチドの軟骨細胞に対する賦活作用." 応用薬理98 (1/2) (2020): 1-5.