歯肉炎(in vivo)
歯肉炎は、歯周病の初期段階であり、歯茎に炎症が起きることにより、発赤、腫れ、出血しやすさといった不快な症状が現れます。適切なケアを行うことで予防や改善が可能ですが、進行して歯周炎、歯槽膿漏になると、歯肉中のコラーゲンが減って歯肉が痩せたり、歯を支える骨まで炎症が広がることがあります。このような状態では回復が難しくなるため、早めのケアが重要といわれています。
このページでは、CTP含有コラーゲン摂取の歯肉炎への作用についてのイヌモデルを用いた実験結果をご紹介します。
イヌ歯肉炎モデルによる評価試験(in vivo)
■方法
- 【歯肉炎の惹起】
- 32.1±0.6月齢の雌ビーグル犬8頭の前歯(犬歯を含む)6歯にデンタルフロスを結紮し、その後8週間にわたって軟食を摂取させることで歯肉炎を惹起しました。歯肉炎惹起期間の後、デンタルフロスは除去しました。実験の全期間にわたり口腔内清掃は実施しませんでした。
- 【CTP含有コラーゲンの投与】
- 実験群4頭には固形飼料とCTP含有コラーゲン錠剤を、対照群4頭には固形飼料のみを毎日与えました。
- 【評価】
- マイクロスコープにより歯肉の毛細血管係蹄の血流と形状を観察しました。歯肉の組織染色標本にて、歯肉中のコラーゲンの状態、組織中毛細血管の充血の状態、歯肉上皮の皮膚バリアの状態を観察しました。
■結果・考察
実験群、対照群とも炎症細胞の浸潤がみられたものの、実験群では毛細血管係蹄の形状や血流が有意に改善し、毛細血管の充血も改善しており、炎症から回復しつつあることが示唆されました。対照群では歯肉中のコラーゲン組織の分解が進行していたのに対し、実験群では有意に回復していました。また、実験群では歯肉上皮バリアの回復もみられました。
以上のことから、CTP含有コラーゲンの投与が健常な歯肉の維持を助ける作用があることが示唆されました。
図1.歯肉のエラスティカ・マッソン染色画像(青色の部分が歯肉中のコラーゲン繊維です)

図2.実験群でのCTP摂取による血流の改善(クリックすると動画が再生されます)
摂取前 |
![]() |
CTP2ヶ月摂取後 |
引用: | 山本ら(2024)コラーゲントリペプチド経口投与の歯肉炎への影響、日本口腔インプラント学会誌 37.3、236-244 DOI |